創作に没頭する母 - by ChatonJardin

アーティスティックな母

夏休みの宿題

子供の頃夏休みの宿題何にしようかと考えてると母が小さい小瓶を5、6個集めてこれで人形作ればと言った。
蓋のところを顔に見立てて。
母はあちこちから小布や紐。
髪の毛や服、になりそうな材料を集めた。
ただのガラスの小瓶が生き生きとした人形に変わった。

見たことのない母の満たされた姿

私が驚いたのは変身した人形だけではなかった。
今まで見たことのない何かに没頭して夢中になって創作している母だった。
いつも忙しくしていたので、そして日々の生活の中で何かを創るなんて言う余裕はなかったはず。
そう言えば母はアーティススティックなところは確かにあった。
今に思えば。和裁、洋裁、編物ちょっとした細工物。
ササーと作ってしまったものだった。
私の宿題の時も創作の機会に枯渇してたのだろう。
いつになく生き生きとして、満足そうだった。
もはや私の宿題ではなく母の課題のように感じた。

言い出せなかった結末

その感覚は70年たった今も皮膚感覚で覚えている。
その人形は一番の賞を獲ってしまった。
お喋りな私は黙り通した。
子供心に母を傷付けたくなかった。 


Today’s writer:yayoi

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