オールドマイセン- by ChatonJardin

私が恋したアンティークカップ

パリの蚤の市のような倉庫

会社勤めをしていた時、その会社に画廊と西洋骨董部とファッションの3部門があった。
小さな会社で1部門2人か3人でやってたと思う。道楽で会社をやっているように思えた。
私は全部興味があったので仕事もないのに合間を縫って見に行ってた。
昭和44、45年頃の事。ミニスカート全盛の頃。
画廊にはピカソやゴーギャンの版画があり、西洋骨董の倉庫にはマイセン、セーブル、ロイヤルクラウンダービー、等々宝の山だった。
パリの蚤の市の店を切り取ってきたようだった。

無知ならば出会わなかった

私は自分が知らないのが腹立たしくて本を猛読した。倉庫の中の蚤の市、床に直に置かれたアンティークの数々と本のお陰で少しずつ私の未熟な知識が増えた。
そんな中で小さいデミタスのカップを見つけた。今まで見たことのない物だった。カップと受け皿の外側に立体的なお花が、中側には花と虫が描いてあった。実用には不向きな、だけれど可愛くそして美しい。
今までの自分の人生には決して出逢わなかったそのカップに、一瞬で引き込まれてしまった。オールドマイセンのカップだった。

誰にも奪われたくない

それからはことあるごとに見に行った。
ある時カップが無くなっていた。胸が痛くなった。何処にいったんだろう?担当の人に聞くと、
「画廊でかざってるよ。」
画廊に小さいデミタスがあった。ホッとした。画廊の女の子もマイセンのカップに惹かれていたようだ。
そのカップはお揃いではないけれど2客あったので二人で1客づつ買った。
欠けてる所も何ヵ所かありアンティークの価値は下がるものの決して安くなかった。
けれどそのカップを見るたび心が熱くなるのは一体なんだろうか。


Today’s writer:yayoi

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